LINE×PayPayのジョイントベンチャー

国内のスマホ決済の消耗戦を終え、世界をリードするチームを目指す

2019年11月、ライバル関係にあったヤフーとLINEが「最強のワンチーム」を目指すと宣言し、2020年に経営統合する方向で合意。統合が実現すれば、ネット企業では圧倒的なシェアを握ることになる。両社のジョイントベンチャーが実現した真の理由とは。

ヤフーは店舗というリアルの世界にLINEネットの世界に強い

 国内のユーザーが8200万人を超える(2019年11月時点)通信アプリ「LINE」の強みは膨大な顧客情報を保有していることです。それに対してヤフー社は、スマホ決済の利用率の44.2%(MMD研究所調査)をシェアする「PayPay」を展開しており、170万カ所以上加盟店数をすでに開拓していることです。

 一方で、LINEにとっては、同社の大きな資産である顧客情報をいかに活かし、人と情報・サービスとの距離を縮めるかが課題でもあります。

また、ヤフーにとってはLINEがもっているようなオンラインを駆使する技術は強みであるとはいえません。

 例えば、LINEが展開するLINE Payでは「店頭でLINE Payを使って支払ってもらい、店舗とお客さんがLINEでつながる。そうすれば、店舗はLINEでお客さんにクーポンや会員証を送ったりすることができる。手数料だけでなく、プロモーションや広告が収益源として期待できる」といった施策が可能ですが、ヤフーは同じ分野では十分な施策を用いることができていません。お互いの資産を活かし合うことで相乗効果が期待できたからこそ、ジョイントベンチャーの可能性を見出したのでしょう。
【出典】文春オンライン

経営統合についての記者会見で、記念撮影に応じるZホールディングスの川辺健太郎社長(左)とLINEの出沢剛社長=東京都港区で2019年11月18日午後5時8分、吉田航太撮影【出典】毎日新聞

両社の統合でサービスはどのように変化するのか

 両社の経営統合のポイントは「顧客層が違うからこそ、相乗効果が生まれやすい」ということです。LINEの主な利用者が10~20代の若年層であるのに対し、ヤフーは30代以上で古くからのパソコンユーザーの利用が主体です。よって、互いの資産を提供し合うことで、LINEからヤフーショッピング(ヤフーが展開するECサイト)に手軽にアクセスして注文するなど、両社の顧客を相互に誘導することが可能になります。
【出典】産経新聞

両社共通の課題を解決し、世界をリードするAI企業を目指す

 両社の強みを活かし合い、サービスを統合することで得られる情報は「誰が(Who)、いつ(When)、どの店(Where)で、いくら(Ho-w much)買ったか」です。

 しかし、より便利なサービスを生み出すにはさらに細やかな購買情報が必要となります。つまり、リアル店舗をもたない両社にとっての課題は「何(What)をいくつ(How m-any)買ったのか」を把握することであるといえるでしょう。

 そこで、両社は年間1000億円を投資し、AI技術を取り入れることを明言。長期的には「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」を目指しているといいます。(【出典】Agenda note)

 また、PayPayとLINE Payの行方については、会見に登壇したZHD(ヤフーの親会社)の川邊健太郎社長が「これから1年弱は、まだまだ競合関係を続ける。最終的には最もユーザーに支持されているサービスを統合後に補完し合う形になるだろう」と発言しています。(【出典】Yahooニュース)


LINE
LINE株式会社が開発、展開するソーシャル・ネットワーキング・サービス。創業者である李海珍(イ・ヘジン)氏が、人が東日本大震災で大切な人と連絡が取れない状況を見て発案された。月間アクティブユーザー数は8,200万人を超える。
【出典】同社公式HP、Wikipedia

PayPay
ソフトバンクとヤフーの両社によって2018年6月に設立されたPayPay株式会社が展開するスマホ決済サービス。2019年11月時点で同サービスの登録者数は2,000万人を超える。
【出典】同社公式HP


ジョイントベンチャーによる顧客創造とは?

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