コラボレーション成功の要はパーパス(存在意義)の共感から
昨年2018年、宅配水大手のアクアクララはネスレ日本とパートナーシップを組み、ネスレのコーヒーマシンとウォーターサーバーを一体化したマシン「AQUA WITH」を利用できるサービスを開始した。「互いのパーパスに共感し、共通のビジョンについて合意した」ことから始まったという本企画。両社にとって「コラボレーション」とは。
コラボレーションにより生まれた、日本初のマシン「AQUA WITH」
両社の協業により生まれた一体型マシンは、「冷水」「温水」に加え、コーヒーメニューやティー、抹茶なども簡単なボタン操作で味わえるというもの。容量12リットルの飲料水ボトルを備え、利用者がコーヒーを抽出する際の水を補充する頻度を減らしたほか、まろやかで舌ざわりのやさしい軟水を使用するため、コーヒー本来の味わいを実現することに成功したといいます。
PR面では、両社の社長が登壇し、サービス開始を発表する共同の記者会見およびメディア向け体験会を開催。また一般家庭に対し、広告以外でリーチすべく、発売開始と同時に家事大手のベアーズと組んだ共働き応援キャンペーンを実施しました。
互いのパーパスに共感し、共通のビジョンについて合意する
ネスレ日本 レギュラーソリュブルコーヒービジネス部の部長を務める島川基氏によると「コラボの成功を左右するものは、企業のパーパス(存在意義)を立脚点として、協業先とのゴールイメージを明確に描くこと」であるといいます。ゴールイメージ(:提供する顧客体験)が豊かなものであれば、そこに必ず需要を発見することができるでしょう。例えば、ネスレのパーパスは「生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献する」ことです。各事業部が、「このパーパスを体現するには?」という観点で考えるそうです。コラボの際は、最初にパートナーの持つ理念を互いに理解し、取り組みの共通ビジョンについて合意すること。How(いかにして行うか)の議論に入る前に、それぞれのWhy(両社の目指すもの)を腹を割って話せる関係になっておくことが取り組みの第一歩であるといいます。
「二人」の顧客が抱える問題を言語化する
同氏は、自社の顧客の根本的なニーズとその解決のためのパートナーを発見し、互いの目指すビジョンが明確になったならば、彼らが「無意識下に抱えている問題」を改めて言語化することの大切さを強調しています。
“そのコラボにふれたお客さま一人ひとりが、どのようなベネフィットを得られるのかを考えるべきです。そして、取り組む協業先も自社にとっての顧客である点に留意しましょう。”
コラボレーションの成功を決めるのは、「サービスを届けたいお客様」と「パートナー」の二者の問題を解決できるよう、自社の強みを最大限に活用することであるといえるでしょう。
【出典】2019年8月号 販促会議
アクアクララ株式会社
東京都品川区西五反田に本社を置く、ボトルウォーターの製造ならびにその宅配事業を営む企業。 企業名は、水を意味するアクアと、透明感を意味するクララからとられた。
【出典】Wikipedia
ネスレ日本株式会社
スイスのヴヴェーに本社を置く世界最大の食品・飲料会社Nestléの日本法人。日本ではコーヒーが主力商品だが、ミネラルウォーターやベビーフード、乳製品、アイスクリームなど多くの製品を取り扱っている。2013年に創業100周年を迎えた。【出典】Wikipedia
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