老人ホーム×保育園のジョイントベンチャー

国内でいち早く「世代間交流」のビジョンを掲げたパイオニア

京都江東区にある「社会福祉法人 江東園」は、これからの社会に必要とされる真の「共生社会」を目指し、半世紀以上も前からその実践者として経営を続けている。その取り組みは、福祉の分野でのモデルケースとして世界中から注目が集まっているという。同園が実践する コラボレーションにより生み出される相乗効果とは。

「老人ホーム」と「保育園」を掛け合わせた「幼老複合施設」とは

 「幼老複合施設」とは、保育園や学童保育などの子ども用の施設と、グループホームや養護老人ホームなどの高齢者施設を合築、あるいは併設した施設のことです。他にも、「保育園」×「グループホーム」、「児童館」×「高齢者福祉センター」など、さまざまな組み合わせによる多様な幼老複合施設が存在しています。
【出典】ディアリー

幼老複合施設が生み出す相乗効果

 シニアライフ・コンサルタントの武谷美奈子氏によると、幼老複合施設には、それぞれの立場において以下のようなメリットが生まれたといいます。

〈高齢者にとってのメリット〉

● 笑顔が増える
無邪気で積極的な子どもたちと触れ合うことで、自然に笑顔が多くなる

● 生きがいを持てる
子どもを守り育てようとする役割意識が生まれ、人のために役に立てる存在価値を再確認し、生きがいが持てるようになる

● 活動量が増える
子どもの世話をしたり、一緒に遊んだりする時間が多くなることから活動量が増える

● 脳の活性化が期待できる
動き回る子どもを見守ることで、気配り・目配りする機会が増え、脳の活性化が期待できる


〈子どもにとってのメリット〉

● お年寄りをいたわる気持ちが芽生える
高齢者の身体や認知症について理解が深まり、社会的弱者に対して優しくいたわる思いやりの気持ちが育まれる

● 挨拶などマナーが身につく
高齢者と一緒に過ごす中で、家庭内で学べなくなっている挨拶やマナーなどについて注意を受けたり、教わる場面が多くなる

● 幅広い知識が得られる
学校では教わらないお年寄りが持つ知恵や知識を学ぶことができる

● 子どもの情緒にも良い影響を与える
「早くしなさい」などと急かされることもなく、褒められることも多いなどから、子どもの気持ちが安定し自信につながる


〈運営者にとってのメリット〉

● 土地・建物の有効活用
複合化することで土地や既存施設の有効活用ができ、財源の節約が可能になる

● コストの低下
複数の施設機能を複合して設置することで設置・運営コストが抑えられる

● スタッフの採用
同一施設に子どもを預けられるので、子をもつスタッフの採用に繋がる


子ども、お年寄り、障がい者が一緒に過ごす施設として取り上げられた江東園が運営する「江東園ケアセンターつばき」。同園の理念である「幸せ追求者」に基づき、施設の運営に関わる全ての人の幸福を尊重し運営されているという。【出典】2019年6月25日|日テレNEWS24

30年以上世代間交流を続ける幼老複合施設「江東園」

 土地・建物の有効活用が見込めるほか、高齢者の生きがいづくり、子どもの教育的効果などが期待できることから、国や各自治体レベルで関心が高まりつつある幼老複合施設ですが、東京都江東区にある「社会福祉法人 江東園」は30年以上も前から高齢者と子どもの交流を続けています。同園では、高齢者向けのデイサービスと同じフロアに保育園、別の階には知的障がい者のための施設が併設されており、それぞれが交流する機会が設けられています。

 現在、日本においては、「人口減少」、「家族・地域社会の変容」に対し「地域共生社会(:相互に支え合い、子ども・高齢者・障害者なども「支えられる」だけでなく「支え手となって活躍できる社会)」を実現する方針を打ち立てています。その対策の一つに「高齢者・障害者・児童福祉の一体化」があり、幼老複合施設の増加はその流れにも合致していることから、今後ますます注目されることでしょう。(【出典】LIFULL)

 一方で、このような施設を運営するには、介護・保育の両分野の知識がある程度必要となり、スタッフの負担が大きくなってしまうというデメリットも存在します。人材の育成や園内のトラブルの防止などハードルの高い課題はありますが、「人口減少」、「社会保障費の増大」という私たちが抱える大きな課題を乗り越えていくための道を示してくれたという点で、同園の取り組みはあらゆる分野において活力を与えてくれるものであるといえるでしょう。


社会福祉法人 江東園
1962年創業。国内でいち早く「世代間交流」というビジョンを掲げ、福祉・介護の分野のモデルケースとして世界中から注目を集めている。幼老複合施設の運営、地域の人たちに向けた相談窓口(地域包括センター)の運営、世代間交流イベントの開催などを行なっている。【出典】リクナビ


ジョイントベンチャーによる顧客創造とは?

ジョイントベンチャーの本質は資産のニーズの交換することによって新たな顧客を創造することにあります。
ドラッカーは企業の目的の定義は「顧客の創造」であるとしました。

今回の特集について、どんな資産とニーズの交換が行われ、どんな顧客創造が行われたのでしょうか。
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