ジョイントベンチャーと『創発』

時間をかけず、お金もかけず、人手もかけずにイノベーションを起こす方法。
それがジョイントベンチャーです。

ジョイントベンチャーは組織と組織の単なる組み合わせではありません。
近年、業界最大手企業による戦略的提携が加速し、他社との圧倒的な差別化を図り、短期間で急成長を遂げる動きをする企業が勢力を増しているのはご存知のこととと思います。
ジョイントベンチャーは、2社またはそれ以上の会社が提携することにより、強みを強化し、弱み無力にする力を持っています。

なぜ、ジョイントベンチャーは世界中の名だたる経営者たちから重要視されるほどの威力を発揮できるのか。
そのヒントとなるのが『創発』という概念です。

創発とは?

創発とは『部分の性質の単純な足し算に留まらない特性が、全体に表れるということ』を指しています。
英語では”Emergence”と呼ばれており、創発の威力を想像しやすいのは有名な絵本『スイミー』でしょう。

(出典:好学社『スイミー』)

一匹一匹は本当に小さな魚ですが、たくさんの仲間で協力してそれぞれの配置につくことによって、
一匹の大きさとは比べものにならない大きさとなり、襲ってくる敵を追い返す物語です。

アリの集団も創発をイメージする上で良い例となるでしょう。
ドイツのクリエイターチームが作った動画がとてもわかりやすいので、紹介します。
(字幕ボタンを押すことで、日本語の字幕が出てきます。)

冒頭部分を解説すると、、、

アリの脳は小さいので、自分の意志で行動したり、計画を立てたりすることはできません。


でも、アリがたくさん集まると賢くなります。
アリがたくさん集まったコロニーはとても複雑な構造を形成することができます。


コロニーの中には、菌を育てる農園があったり、幼虫を育てる場所も作っています。


一匹一匹は小さくても群れをなすことで外敵と戦ったり、防衛したりもできるようになります。

なぜ、こんなことができるのでしょうか。
それが「創発」であり、「小さいものが集まって大きなものとなり、しかもそれが単なる個体の総和とは異なる性質を持つようになる」という現象です。

イノベーションを創発という切り口で読み解いてみると、それまでの延長線ではありえない非連続的な変化が起こるとき、ほとんどの場合は世界のどこか小さな組織や個人から端を発していることが多いです。

全く新しい価値の創造や、問題の抜本的な解決策は現場レベルの結びつき・協力から生まれるということの現れではないかと思います。

企業と企業、組織と組織ががお互いの強みを生かして組み合わさった時、両者を合わせた以上の影響力を社会に与えることになることは容易に想像がつきます。

ジョイントベンチャーはもはや国策となる

経団連も創発を基盤に据えたイノベーションのエコシステムを醸成することを打ち出しています。
その基本概念は「戦略と創発」という言葉でまとめられています。

『Society 5.0ーともに創造する未来ー』(日本経団連)の中で

“ 創発的研究は、最も破壊的イノベーション生み出し得る領域である。創発的 研究は、特定の課題や短期的な目標設定は行わず、多様性(研究する場の多様 性、研究者の多様性、研究資金の多様性)と連動性(分野間や課題間の連動性、 基礎研究と応用と連動性、国の境界をまたいだ連動性)の拡大により、想定外 の研究成果が生まれてくることを期待する。”

と紹介されています。

Society 5.0とは?

内閣府は「Society 5.0」を以下のように定義しています。

“ これまでの情報社会(Society 4.0)では知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分であるという問題がありました。
人が行う能力に限界があるため、あふれる情報から必要な情報を見つけて分析する作業が負担であったり、年齢や障害などによる労働や行動範囲に制約がありました。また、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対して様々な制約があり、十分に対応することが困難でした。

Society 5.0で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。

また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。”

さらに、ジョイントベンチャーは企業と企業だけのものではありません。
企業や学術組織、公共機関や一般に人々、つまり産学官民の連携によって行うべきものです。

Society5.0の日本経団連の提言では、創発的戦略を取ることが、そのまま国連が採択したSDGs達成にも貢献するとされています。

(出典:日本経団連 Society 5.0ーともに創造する未来ー概要資料)

産学官民が連携すること、つまりジョイントベンチャー戦略を取ることがそのまま地球規模のイノベーションに発展しうる、と容易に想像がつくのではないでしょうか。

 
 
 

参考文献:

イノベーションのための イノベーションのための思考パターンの必要性
http://blogger10.chalaza.net/091020thinkpattern.pdf

『スイミー』のような創発型チームを作るには?編集工学で考える、変化を味方にする組織論
https://logmi.jp/business/articles/321144

オーブンイノベーションによる新規ビジネスの創発と事業化を目指すNTTデータ オープンイノベーション事業創発室
https://www.bcm.co.jp/site/2014/07/ntt-data/1407-ntt-data-01.pdf

朝日新聞 – 伊藤穣一さんに聞く 創発する民主主義とは »
https://joi.ito.com/jp/archives/2011/09/05/005511.html

この宇宙で最も謎に包まれた現象「創発」とは?取るに足らないものが集まることでなぜ「個体の集合」以上の意味を持つのか
https://gigazine.net/news/20171117-stupid-things-smart-together/

創発についての研究20191120-1.pdf
http://www.philosophia.co.jp/pdf/jmkw-1110.pdf

創発とは? イノベーションを起こす創造的な組織を構築するポイント
https://www.kaonavi.jp/dictionary/emergence/

S o c i e t y 5 . 0の実現に向けた「戦略」と「創発」への転換~ 政府研究開発投資に関する提言~
https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/034_gaiyo.pdf

Society 5.0を実現するデータ活用推進戦略
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/104_yoten.pdf
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/104_gaiyo.pdf
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/104_honbun.pdf
https://www.keidanren.or.jp/policy/2017/104_usecase.pdf

Society 5.0ーともに創造する未来ー
https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/095_youyaku.pdf
https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/095_gaiyo.pdf
https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/095_honbun.pdf
https://www.keidanren.or.jp/policy/2018/095_sasshi.pdf

Society 5.0実現に向けたベンチャー・エコシステムの進化
https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/012_gaiyo.pdf
https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/012_honbun.pdf
https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/012_jirei.pdf

内閣府 Society 5.0 
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

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