目指すは「東京の新名所」世界を驚かせたコラボレーション
若者向けの商品を中心に、日本のポップカルチャーを発信してきたユニクロと、日本のお家芸とも言える家電産業で海外からの人気を集めるビックカメラ。世界を驚かせた異業種同士のコラボレーションと、相乗効果の真髄に迫る。
「素晴らしいゴチャゴチャ感」をテーマに生まれた共同店舗
「ビックロ」とは、ユニクロとビックカメラ、2つの企業を掛けあわせることで家電専門店とファッション業界を融合させた共同店舗。ユニクロのブランディングを長く手がけてきたクリエイティブディレクター・佐藤可士和氏のプロデュースのもと、2012年に誕生しました。
ビックロに押し寄せる外国人観光客
ユニクロの柳井正社長は、ビックロを「日本を代表するグローバル繁盛店にしたい」と語り、開店当初から外国人観光客をメインターゲットに展開されました。
実際、全社員のうち5分の1近い外国人スタッフを導入し、4ヶ国語に対応。店内には免税カウンターが設けられ、外国人観光客が買い物をしやすい環境を整えています。また、JR新宿駅・地下鉄の新宿三丁目駅からもほど近い、アクセスの良さも備えています。
「アクセス」「快適さ」「価格」という、多くの外国人観光客にとって魅力な要素を一箇所に集約したビックロ。日本国内におけるインバウンド市場の拡大をいち早く捉え、ニーズに合わせた店舗作りをしたことが効果的な集客につながっているといえるのではないでしょうか。
【出典】日本宿泊業支援協会
二つの業態のコラボが織りなす新たな生活シーンの提案
ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングの柳井正社長は、予てより「国内市場は元気がない。商品を選ぶ前に、店を選んでもらうことが大事」であると語ってきました。モノで溢れる先進国で、顧客が求めているのは「モノ」の消費ではなく、「コト」の消費であると言われています。そんな中、ユニクロを通してモノを販売する商売を第一線で実践し続けてきたからこそ、オリジナリティやストーリーが必要であることを身にしみて実感されているのでしょう。
若者向けの商品を中心に、日本のポップカルチャーを世界に発信してきたユニクロと、日本のお家芸とも言える家電産業で観光客に人気のビックカメラ。異業種同士のコラボレーションにより生まれたビックロでは、そのインパクトを魅力に変えるべく、さまざまな仕掛けが用意されています。その一部をご紹介いたしましょう。(【出典】NEWSポストセブン)
●ビックポイントがクーポン券となってユニクロ商品で利用できる
●暖房器具コーナーで発熱保温下着「ヒートテック」を販売
●ユニクロの衣料品をまとったマネキンが掃除機を手にしている
●カメラや携帯電話などの家電とコーディネートできるファッションブースを設置
●ビックカメラ×ユニクロの企業コラボTシャツを限定販
異業種がコラボすることの意義
異業種同士の「コラボレーション」や「ジョイントベンチャー」には話題性があり、それぞれの顧客層も取り込めるというメリットの他に、一等地に出店しても経費負担を折半できるという魅力もあります。ビジネス拡大という意味でも、経費削減という観点でも、ジョイントベンチャーの効果は年々注目され始めています。また、自社の強みと他社の強みを掛け合わせる「ジョイントベンチャー」は、敵を打ち負かす競争社会ではなく、共創社会をつくることの一助となります。勝者、敗者の存在する社会は社会の分断や孤立に繋がりかねません。21世紀は多様性が尊重される時代です。自分たちの良い部分を他社や社会に役立てることはできないかと考えられる人や企業やが増えることを心より願っています。
ビックロ(BICQLO)
東京都新宿区にある、家電量販店のビックカメラとカジュアル衣料のユニクロとの共同出店による商業施設。新宿三丁目駅直結の大型店舗「ビックカメラ新宿東口新店」にユニクロが加わり、「ビックロ」として2012年9月27日、グランドオープン。【出典】Wikipedia
ジョイントベンチャーによる顧客創造とは?
ジョイントベンチャーの本質は資産のニーズの交換することによって新たな顧客を創造することにあります。
ドラッカーは企業の目的の定義は「顧客の創造」であるとしました。
今回の特集について、どんな資産とニーズの交換が行われ、どんな顧客創造が行われたのでしょうか。
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